「うつ病」と「自律神経失調症」の違いは、「うつ病」が病名であるのに対して、「自律神経失調症」は、自律神経のバランスが崩れてしまった「状態」のことを言います。
「自律神経失調症」は、あくまでも「状態」のことであり、病名ではないのです。
「うつ病」と「自律神経失調症」の違いとは…?
「うつ病」と「自律神経失調症」の違いを感じるのは、ストレスなどによって「不眠」や「頭痛」などの症状があり、仕事を休んだりしたときです。
そのようなとき、医師は「自律神経失調症」を病名として診断書に書いてくれます。
会社の人事などでは、「自律神経失調症」を病名として受け入れて「病気休暇」を認めてくれます。
一方、同様の症状で入院したときには、二つの診断書が必要になります。
医師は、会社などに提出する診断書には「自律神経失調症」と書いてくれるかも知れません。
しかし、保険会社に提出する診断書には「うつ病」という病名を書きます。
保険会社では、「病気」でなければ「入院保険」の保険料を支払えないからです。
(もちろん「入院保険」に加入していることが条件ですね。)
やはり、会社内で「うつ病」という烙印を押されるのはツラいことですからね。
この面では、医師の配慮は、とても有難いことです。
ちなみに、日本心身医学会では、自律神経失調症を次のように定義しています。
「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」
・様々な自律神経症状が認められること
・検査で身体疾患が見つからないこと
・明らかな精神障害が認められないこと元住吉こころみクリニックのサイトより引用
この中で、「不定愁訴を有し」とありますが、不定愁訴とは、
不定愁訴(ふていしゅうそ)は、臨床用語で、患者からの「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの、「なんとなく体調が悪い」という強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態を指す。
ウィキペディア(Wikipedia)より引用
…とあります。
これらは一見すると「うつ病」の症状にも見えます。
それでは、「うつ病」の心の症状を見てみると、
うつ病は、日常で感じる一時的な気分の落ち込みなどではありません。
言葉では表現しようがないほどつらい沈んだ気分または興味・喜びの喪失が、ほとんど一日中ほぼ毎日、2週間以上続き、仕事や日常生活の困りごとが出てきてしまう。
―これが「うつ病」なのです。「塩野義製薬と日本イーライリリーがうつ病について啓発を行うウェブサイトです。」より引用
…とあります。
次に、「うつ病」の体の症状を見てみると、
うつ病の“からだの症状”には、睡眠障害、疲労感・倦怠感、食欲の減退、動悸・息苦しさ・口が渇くなど、さまざまな症状があるといわれています。また、頭や肩、腰などの「重さや痛み」が、うつ病にともなうことがあるとも考えられています。
「塩野義製薬と日本イーライリリーがうつ病について啓発を行うウェブサイトです。」より引用
…とあります。
また、「自律神経失調症」の治療に使われる薬を調べてみましたが、抗うつ薬や精神安定剤、睡眠導入剤など、「うつ病」に使われる薬とさほど変わりはありません。
「うつ病」と「自律神経失調症」の違いは、「落ち込みが病的に深くなっているかどうか」にあるようです。
医師は、ここの部分を見て判断しているのです。
「うつ病」なのか「自律神経失調症」なのか?
「うつ病」なのか「自律神経失調症」なのか、素人には分かりにくいですよね。
どちらにしても、自分で何かがおかしいと感じたら、また上記のような症状が現れていたら、病院に行くことです。
どちらにしても、服用するお薬はあまり変わりません。
そのままほっといたら、大変なことにつながることだってありますからね。
「うつ病」だって「自律神経失調症」だって、どっちだっていいじゃないですか?
問題は、その症状をひどくさせないことにあるのですから。
私の場合には、最初は「自律神経失調症」という診断でしたが、その後に「うつ病」へと変わりました。
後悔してもどうしようもないのですが、「自律神経失調症」という診断が出た時点で、しっかりとした治療を受けて、主治医の言うことに耳を傾けておけば良かったと思っています。
今では「うつ病」が長期化してしている状況にまでになってしまいました。
「うつ病」でも「自律神経失調症」でも、早期発見、早期治療、早期完治することが一番大切なことだと思いますよ。