「夢のお話」 第十三話 ~宇宙移住面接官~

宇宙 夢のお話

私は、眠れない夜を過ごし、明け方に眠りについたとき夢を見ます。
それらの中には面白いものが多く、私が一人で味わうのが勿体ないと思っています。
そこでこのブログで紹介しています。

今回のタイトルは、「宇宙移住面接官」です。

未確認飛行物体…!

僕は、ごく普通の会社員です。
新型コロナウィルスが新たなワクチン開発の成功のおかげで、すっかり鳴りを潜めるようになってきました。

しばらくして、今度は「未確認飛行物体」が見かけられたというニュースが、報道番組の時間の大半を占めるようになっていました。
これまでにどこどこの国で確認された、今日はどこどこの国で確認されたとの報道に、専門家なる人たちはテレビ出演で大忙しです。

僕の会社内でも「未確認飛行物体は本当にいるのか?」「どこからやって来たのか?」という話題で持ち切りです。

テレビ局Aの朝の報道番組で有名なT氏は、相変わらず「コロナ禍の責任」について喚きたてていて、もううんざりしていたところに「未確認飛行物体」です。
この話題が出るや否や、これまで何事もなかったかのように、今度は毎朝「未確認飛行物体」がどうだこうだと持論を展開しています。

新型コロナウィルスの感染の話題が収まり、T氏が出演しているテレビ局Aをはじめ、各局の報道番組の視聴率はうなぎ上りの状態です。
T氏などはきっとほくそ笑んでいるに違いありません。

政府では、官房長官が「確認できていないことにはお答えできません」と繰り返すばかり。
総理大臣は、ぶら下がりの取材にも何のコメントも出さず、無言を貫いていました。

それから2、3か月もすると、世界中の空は「未確認飛行物体」が占領したかのように、自由に飛び回るようになっていました。
しかし、「未確認飛行物体」からは何のコンタクトもありませんでした。
また、攻撃を仕掛けてくる様子もありません。

テレビに出ている専門家の一人が「地球への侵略です。その根拠は……だからです。」という発言がありました。
その発言に様々な尾ひれがついて、噂が噂を呼び、何とも不気味な存在へと変わってきていました。

これまで未確認なのに「専門家」がいるとは、胡散臭い人たちがいるものだと、僕はテレビを観ながら思っていました。「何の専門家」なんだろう…と!
新型コロナウィルスの感染が広まり始めた頃に、テレビに出ていた専門家のようなものですね。

ある日、国連の合意(抵抗せずに、状況を見守る。)に反して、地球の警察を自負している某国が戦闘機を出撃させました。
世界中の人たちがテレビで見守る中、戦闘機がミサイルを発射すると、その「未確認飛行物体」から光が放たれたと思ったその瞬間、その戦闘機とミサイルは跡形もなく消え去って、何もなかったかのようでした。

例のテレビ局Aの朝の報道番組に出演しているT氏などが「地球侵略以外の何でもない!」と煽り立て、専門家なる人たちも「地球侵略だ!」という結論で一致しているようです。
だからと言って、各国では何の対策も取れない状況でした。

宇宙人からのコンタクト…!

ある日「未確認飛行物体」からメッセージが発せられました。
世界各国の政府宛に、その国の言語でのメッセージでした。

これまでの沈黙は、「未確認飛行物体」の情報収集の期間だったのでしょう。

その内容は、「あなたたちが『地球』と呼んでいるこの星は、間もなく消え去ります。私たちは、あなたたちを助けたい。そのためにやって来ました。」というものでした。

各国の政府や国連などで話し合われました。
その「未確認飛行物体」には、各国政府や国連などの団体などで話し合われたことのすべてが筒抜けのようでした。
地球上でも地球の遥か上空を回っている衛星でも何も感知されず、地球上のすべての大都市の上空に現れたことからも、そのくらいのことは簡単なことなのでしょう。
それくらい知能が発達した宇宙人だということですね。

「地球にいるすべての人々を移住させられる星を、私たちは準備しています。その星への移住の準備をしてください。準備ができた時、私たちはまた現れるでしょう。」というメッセージが各国政府や国連などの団体宛に発せられました。

そう言われても迂闊に信じることはできません。
各国政府の見解もバラバラで、とてもまとまる様子は見られませんでした。
すると、また各国政府や国連などにメッセージが発せられました。

「初めから信頼してもらえないことは理解しています。私たちが選んだ人にメッセージを送ります。私たちを信じてください。これはまだ始まりです。」というものでした。

宇宙移住面接官…!

ごく普通の会社員である僕の携帯が鳴りました。
携帯のメッセージを見て驚きました。

「あなたをあなたが住む地区の『メッセンジャー』に任命します。あなたの同意は必要としません。あなたの脳内に情報を送ります。恐れることは何もありません。この携帯を切るとすぐにメッセージが送られます。あなた方の地球の時間で、0.001秒で送信は完了します。」

僕は、この携帯を切るべきなのかを迷う間もなく、相手側から一方的に切られました。

僕は、足先から頭まで変わったところはないか確認しましたが、どこにも変わったところはありません。
しかし、まばたきをすると一瞬ですべてのことが理解できていました。
・「未確認飛行物体」は決して敵ではないこと
・地球は間もなく消滅してしまうこと
・遥か彼方に地球と同じような星があること
・その星には「人」と呼べるような知能を持った生物はいないこと
・人間を害する微生物や生き物はいないこと
・一定期間の食料は提供されること(その星に自生しているものもある。)
・食料や必要なものは自分たちで生産しなければならないこと
・地球の人の輸送は「未確認飛行物体」が行うこと
・その星には地球のすべての人が行けるわけではないこと

僕は、僕の意志とは関わりなく行動していました。
送られてくるメッセージのとおりに行動するのです。
不思議なことに、嫌な気持ちは全然しなくて、当たり前のことを当たり前にしているような感じです。
他の「メッセンジャー」たちもきっと同様なのでしょう。
それ以降も、次から次へとメッセージが送られてきました。
僕たちはただそれらを行動に移すだけです。

送られてきたメッセージは、次第に自分の意志となって行動するようになっていました。

次に送られてきたメッセージは、現実としては過酷なものでした。
この時だけ心に痛みが走ったように感じました。

「あなたを『宇宙移住面接官』に任命します。あなたの同意は必要としません。あなたの本質で選別するだけです。」といったメッセージでした。

それは、「新たな星に行くべき人」なのか、「滅びゆく地球に残される人」なのかを選別することでした。
地球のすべての人に何らかのメッセージが送られたのか、僕たち「宇宙移住面接官」が選別を行う場所に、次から次へと人が訪れました。

新たな星は、地球人70憶人のすべてが暮らせるほどの大きさの星だそうです。
しかし、新たな星で問題を起こす可能性がある人や移住するに値しない人などを宇宙人は認めず、その最終の判断は、地球人である僕たち人間の「宇宙移住面接官」が決めるのです。
宇宙人は、僕たち「宇宙移住面接官」の判断には忠実に従うこととされ、その後に起きた問題はどのようなことであれ「人間の責任」とされました。

僕の目の前に人が立つと、僕の脳は活性化して、その人の本質が一瞬で見分けられます。
新たな星に移住するに相応しいと認められると、右の方を指さして、メッセンジャーが誘導していきます。
地球に残すべき人は、左の方を指さして、また別のメッセンジャーが誘導していきます。

新しい星に行く人は、すぐに宇宙船に乗せられて次々に飛び立っていきました。
そして、宇宙船は後から後からやってきます。
その背後には巨大な母船が待ち構えていて、宇宙船を次々に回収していきました。

地球に残された人には、これから地球が消滅するまでの間、生きていくための手段が、例のメッセージとして送られました。

最終判断…!

「宇宙移住面接官」である僕は、非情なことをしているなどと微塵も感じることなく、淡々と面接を行っていきました。

次に、メッセンジャーの人たちを面接して、右側を指さすと一人で歩いて行きました。
メッセンジャーの人たちは、すべて右の方を指さされて、そちらに歩いて行きました。

最後に残ったのは「宇宙移住面接官」である僕だけになりました。
僕は、躊躇することもなく、左を指さして、一人で歩いて行きました。

怖いわ~!

私が見た夢はここまでです。
いつものように、文章化するための加筆はしていますが、ストーリーはそのままです。

今回の夢は、ストーリーとしては面白いものでした。
しかし、最後に残った僕すなわち私は、躊躇することなく、自分を「滅びゆく地球に残る人」の方を選んだところが興味深いですね。
自分で自分を「移住するに値しない人」にしてしまったのです。
無意識の意識というのでしょうか、凄く怖いことですよね。

目が覚めて、ほっとしました。(夢の中では何も感じなかったのですが…。)

これを、「夢分析」とか「夢判断」とかで分析してもらったら、どう言う言葉が返ってくるのでしょうか?

眠れない夜を過ごして、ツラい思いをしているのですから、たまにはもっと違った意味で、面白い夢を見たいものです。
可愛い女の子が出てくる夢とか…、芸能人とお付き合いする夢とか…、あんなことやこんなことをする夢とか…。

まあ、こんなことを考えてるのですから「移住に値しない人」なのでしょうね!

私の行き先は、新しい星じゃなくて、地獄じゃい地獄!

星

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